今回は、ミックスで、ボーカルの輪郭をくっきりさせるためのEQテクニックをご紹介します。オケに埋もれず、ぼやけず、輪郭をくっきり華やかにさせるためにはどのような処理が必要なのかを解説していきます。
1,ローカットをする
まずはローカット。超低域をばっさりカットしていきます。低音楽器のキックやベースとかぶらないように低音を整理します。ローカットフィルター(ハイパスフィルター)を使います。
ちなみに、ローカットはローカット用にプラグインを用意して削った方がいいです。
①200〜250Hzをばっさりカット
まずは200Hz〜250Hzあたりをばっさりカットします。これだけでまずは結構すっきりします。
②250Hz〜300Hzをうっすらカット
①だけだと、コード系楽器と周波数がかぶっていまいちすっきりしません。そのため、250Hz〜300Hz付近をうっすらカットすると芯が出るのに聞き取りやすくなります。ただ、このあたりをカットしすぎるとペラペラになってしまうのでカットしすぎに注意。
基音部分を少しカット
ローカットに加え、基音部分も少しカットしていきます。基音部分をうっすらとカットすると、音が明るくなってすっきりする感じがします。
だいたい
男性ボーカル:220Hz〜400Hz
女性ボーカル:250Hz〜650Hz
となります。
基音とは?
基音とは、音程を決めるもっとも振動数の少ない音のこと。
基音は曲によっても変わってくるので、まあアナライザーで見たほうが良いと思います。
画像のように、最初にボゴっとなっている部分が基音の周波数なので、
そこをうっすらカットしていきます。
基音についてもっと詳しく知りたい方はこちらで解説してるのでどうぞ。
音がなんか暗い...という場合は基音部分をカットしてみましょう。
第2倍音を部分を少しブースト
第2倍音部分を少しブーストすると、メロディの輪郭がくっきりと出てきます。というのも、
実は人は歌声を聴く時に、その音程のほとんど第2倍音で認識しています
だそうです。
そのため、第2倍音部分をブーストすることでメロディがしっかりと聴き取りやすくなります。
第5倍音部分を少しブースト
第5倍音部分もブーストさせることで、ボーカルに厚みを出すことができます。ボーカルに物足りなさを感じる場合はブーストしてみてください。倍音が豊かだといいボーカルって言いますよね。それをEQで盛ることで再現する感じです。
第5倍音がどのあたりかというと、さっきの基音から1、2、3、...と数えていって、5番目の山の部分が第5倍音部分になります。
数字だと、
男性ボーカル:1000Hz〜2000Hz付近
女性ボーカル:1300Hz〜3300Hz付近
となります。華やかさを足したい場合、このあたりをブーストしてみましょう。
3.5kHz〜4kHz付近をブースト
3kHz〜4kHz付近をブーストすることで、子音を強調することができて、ボーカル全体が明るくくっきりと輪郭が出てきます。3kHz〜4kHzは、無声破裂音(日本語で言うとカ行タ行パ行)を強調することができます。
無声破裂音がはっきりと聴こえるとリズムがわかりやすくなってとても聴きやすいボーカルになります。
8kHz以上をブースト
さらに、8kHz以上の周波数をブーストすることで、息っぽい子音(サ行など)を強調することができます。この辺を強調すると、全体的にくっきり明るいイメージになります。ただし、ブーストしすぎると耳が痛くなるようなキツい音になるので注意。
まとめ
というわけで、ミックスでボーカルの輪郭をくっきり華やかにさせるためのEQテクニックの紹介でした。まずは簡単なローカットからはじめてみましょー。
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