音圧を上げたいからといって、脳死でコンプレッサー(リミッター)をがっつりかけて音圧を稼ぐと、いかにも「音潰しました」感が出るので自然なミックスになりにくいです。
今回は、コンプレッサー(リミッター)で自然に音圧を稼ぐ方法について解説していきます。
- コンプレッサーの基本
- 1つのコンプレッサーだけで音圧を稼ごうとすると音が悪くなる
- 1つのコンプレッサーで潰す音は-3dB以内にする
- コンプレッサーだけに頼るのではなく、EQやフェーダー操作まで戻るのも大事
- まとめ
コンプレッサーの基本
まずは軽くコンプレッサーの基本について。コンプレッサーは、図のようにスレッショルドレベルを原音よりも下げることで音を潰す(圧縮する)ことができます。
そして、図のようにスレッショルドレベルをより下げることで深く音を潰せます。
1つのコンプレッサーだけで音圧を稼ごうとすると音が悪くなる
手っ取り早く音圧を上げたいときに重宝するのがコンプレッサー。初心者の方は、コンプレッサーをかけたらなんか音が大きくなる!とたくさん音を潰して音を大きくしてしまいがちです。しかし、1つのコンプレッサーだけで音圧を稼いだ場合、いかにも音が潰れてダイナミクス感の一切無いぺたっとした音源になりがちです。あと、シンプルに音が悪くなる。そのため、コンプレッサーを使う際は注意が必要です。
1つのコンプレッサーで潰す音は-3dB以内にする
1つのコンプレッサーで音を潰す際は、自然な仕上がりにしたい場合は、潰す音は-3db以内にとどめておきましょう。
もっとコンプレッサーで音圧を稼ぎたい場合は、新しくコンプレッサーを追加して、2段掛けにします。
私がよく紹介している石田ごうきさんの本でも-3dBを基準にコンプレッサーを使うことを推奨しています。
昔、海外のとある超有名エンジニアの方が雑誌のインタビューで「コンプレッサーを使う時には-3dB以上のリダクションがかからないようにするんだ。それ以上の圧縮をしたい時には、2段掛けにしている」と言っているのを読んだことがあります。
「-3dB...だと...!」
早速、1基のコンプレッサー内で-3dB以上のリダクションを起こさないようにしながらミックスしてみたところ...変わりました!このたったひとつの極めて具体的な基準を意識するだけで、確かにミックスが自然になったのです。
石田ごうきさんの本では図解も含めわかりやすく解説しているのでおすすめ。
2段掛けにすると自然と潰す量は-3dB以内くらいになる
ちなみに、私はたまたま単に周りのエンジニアさんや読んだ本でコンプレッサーを2段掛けにしてるから真似していただけで笑
でも、2段掛けにすると自然と1つのコンプレッサーのリダクション量はだいたい-3dB以内くらいになるんですよね。自然に音圧を稼ぎたい場合は-3dBくらい。結構がっつりコンプをかけたい時は-4dBくらいにするときもあります。自然な感じを残したいなら、ギリ-4.5dBくらいまでかな。
コンプレッサーの使い分け
というわけで、
自然な仕上がりにしたい→1つのコンプレッサーで音を潰す量は-3dB以内にする
わざとらしく潰れた音を表現したい→1つのコンプレッサーで音を潰す量を-3dB以上にする
という感じで使い分けると思惑通りの音を作れるかと思います。
コンプレッサーだけに頼るのではなく、EQやフェーダー操作まで戻るのも大事
コンプレッサーを2段掛けにしても不自然なミックスになってしまう場合は、EQやフェーダー操作まで戻った方が良いです。
不自然になってしまう原因はコンプレッサーでは無いのですね。音量バランスがある程度整っていないと、音圧を稼ごうとしても稼げません。
究極、EQやフェーダーが完璧ならほとんどコンプレッサーはいりません。EQやフェーダーのコントロールが上手すぎてコンプレッサーをほとんど使わないエンジニアさんとか実際にいるし。
まとめ
というわけで、コンプレッサーで自然に音圧を稼ぐ方法について解説していきました。
コンプレッサーでお手軽に音が潰せる、音圧が稼げるといって1つのコンプレッサーだけでどうこうしようとしないように注意しましょう。